WECARSの車検不適合車問題が示す、高級外車販売の品質管理と説明責任

WECARSの車検不適合車問題が示す、高級外車販売の品質管理と説明責任

ニュースの概要

WECARSが販売した高級外車について、車検に適合しないマフラーが装着されていたとして、購入者への賠償を命じられたと読売新聞が報じました。販売後、同社は無償でマフラーを付け替えたものの、購入者が本来受けられるはずだった適法な車両の引き渡しを怠ったとして、裁判所は債務不履行を認定。慰謝料など計27万円の支払いを命じています。金額の大小だけでなく、修理すれば済む問題と、契約時点で満たすべき条件を欠いた問題は別だと示す判決です。

引用元: WECARS、車検通らない高級外車販売で賠償命令…無償でマフラー付け替えも「債務不履行」で慰謝料など27万円(読売新聞)

分析・見解

車検不適合は部品交換だけで終わらない契約上の問題

中古車のマフラーは、単なる見た目の装備ではない。排気音や排出ガス、取り付け状態が保安基準に適合しているかを左右し、車検を受けて公道を走れるかに直結する。販売時点で車検に通らない状態なら、購入者は納車後すぐに使える車を受け取れなかったことになる。

販売店が後から部品を交換したとしても、購入者には整備工場を探す手間、車を預ける期間、代替交通費、車検や登録への不安が生じる。今回の判断は、無償修理の実施だけで契約上の不備が消えるわけではないという点に重みがある。中古車では、直せるかどうかと、約束どおりの状態で渡したかどうかを分けて考える必要がある。

高級外車ほど改造履歴を追える検査記録が重要になる

輸入車、とりわけ高性能モデルでは、純正部品から社外部品への交換や、前の所有者による改造が珍しくない。マフラーも、海外仕様と日本の基準が異なる場合がある。外観が純正に近くても、認証番号や消音機構が基準に合わなければ、検査で問題になる可能性がある。

ここで必要なのは、納車前に車検証だけを見る検査ではない。車台番号と部品の適合情報を照合し、マフラーの刻印、排気音、取り付け状態、改造履歴を記録する工程である。高級車は車両価格が高い分、顧客が期待する完成度も高い。販売員の経験だけに頼らず、写真と点検結果を車両ごとに保存する仕組みが欠かせない。

販売現場の分業が検査漏れを生む構造を見直す

大規模な中古車販売では、仕入れ担当、商品化担当、販売担当、整備担当が分かれる。分業は効率を高める一方、誰かが確認したはずだという思い込みを生みやすい。特に、車検適合性を整備部門だけの責任にすると、営業部門が顧客へ伝えた説明と、実際の車両状態にずれが生じる。

改善策は、納車を止める権限を現場に与えることだ。適合性を確認できない部品があれば、売上計上や引き渡しより検査を優先する。さらに、販売契約書に車検適合を明記し、未確認の改造部品がある場合は価格提示の前に説明する。確認者と承認者を分ければ、見落としを発見しやすくなる。

賠償額より大きいのは中古車ブランドへの信頼損失

今回の賠償額は27万円とされるが、企業が負う影響はその金額に限られない。購入者の口コミ、再購入率、紹介販売、問い合わせ対応の人件費まで含めると、一件の不備が店舗全体の収益を圧迫することがある。高級外車の顧客は、価格だけでなく、購入後の安心や手続きの確実さにも対価を払っているからだ。

今後は、販売店が車検適合を単なる整備項目ではなく、品質保証の中心に置く流れが強まるだろう。電動車の普及で排気系部品の問題が減っても、灯火類、運転支援機能、充電設備など別の確認項目が増える。車種が変わっても、納車前に法令適合を証明し、顧客へ分かりやすく渡す仕組みは変わらない。

ビジネスへの影響

納車前に車検適合を証明する工程を契約に組み込む

販売会社は、納車前点検を単なる社内作業で終わらせず、契約履行の証拠として残すべきだ。マフラーや足回りなど改造の影響を受けやすい部品は、部品番号、刻印、取り付け状態、確認日、確認者を記録する。車検が近い車両は、購入者への引き渡し前に検査を済ませるか、未実施の理由とリスクを契約書へ明記する。

営業担当が口頭で説明した内容も、見積書や納車確認書に反映する必要がある。車検に通るという説明をするなら、どの検査をいつ実施したかまで示す。確認できない場合は、販売を急がず、純正部品への交換費用や納期を先に提示する方が、後の返金や紛争より安く済む。

仕入れ価格より再検査費用を優先する判断基準

仕入れ時に安く見える改造車でも、適合確認に時間がかかれば商品化費用は膨らむ。そこで、車種別に注意部品を一覧化し、確認不能な車両は仕入れ上限価格を下げる、または買い取らない基準を設けるとよい。高級外車では、専門整備工場や輸入元への照会費用も原価に含めるべきだ。

経営指標も販売台数だけでは不十分である。納車後30日以内の不具合、再入庫率、説明不足による苦情、車検不適合の件数を店舗別に追う。数字が悪化した店舗には研修を行うだけでなく、検査工程そのものを監査する。問題発生後の無償対応は必要だが、最も効果的な対策は、不適合車を最初から顧客へ渡さないことである。

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